特殊な工具でかぎを開ける「ピッキング」と呼ばれる手法の空き巣被害が増え続けている。県警によると、今年十一月末までの被害は、昨年と同じ時期の四倍以上。メーカーには、ピッキングに強いタイプの錠前の注文が殺到し、生産が追いつかない状態だ。 インターネットには、ピッキングの手口を紹介するサイトもあり、危険はより身近になっている。防犯関係者らは自衛策を呼びかけている。ピッキングは、針金に似た金属棒などをかぎ穴に差し込んで、かぎを開ける。県警によると、昨年一月から十一月までの被害が八百四十八件だったが、今年は十一月末現在で三千九百七十四件。 横浜、川崎両市の大きな駅前を中心に、人目につかないマンションやビルの高層階が主に狙われたが、最近は低い階も狙われるという。 最も狙われているのは、マンションや集合住宅で多く使われている「ディスクシリンダー錠」。プロにかかれば、数十秒で開けられるという。 インターネットでは、様々な錠についてのピッキングの手口を詳しく紹介するホームページもあるという。東急ハンズ横浜店(横浜市西区)は、先月から錠の専門コーナーを設け、全国防犯協会連合会(全防連)認定の、耐ピッキングに優れた錠前を売り出した。二週間ほど前から始めた、錠前交換の出張サービス(横浜市内に限る)にも、すでに二十件近い申し込みがあったという。費用は、出張料や工賃込みで二万円ほど。 メーカー最大手の「美和ロック」(東京都港区)は現在、全防連の認定錠を平常の三―四倍の月六十万個生産しているが、注文は月に約百万個。二十四時間フル操業でも追いつかない状態という。同社の越野則之広報室長は、「認定錠ならピッキングは格段に難しくなる。ただし、絶対に安全ではない」。都市防犯研究センター(同新宿区)の田中義恭事務局長は、ピッキング対策として、一つのドアに錠を二つ以上つける「ワンドア・ツーロック」を挙げる。 「泥棒は侵入に手間取る家は避けたがる。錠が二つ以上あれば、要する時間も倍以上かかります」。補助錠を、主錠と離れた位置に付けるのが効果的という。賃貸マンションなどでは、錠前の交換費用を家主と入居者のどちらが負担するか、の問題もある。都市基盤整備公団は九月から、全国の公団住宅で、入居者が自分の判断でかぎを交換しても、退去の際に元のかぎに戻さなくていいようにした。入居者は防犯性の高いかぎに変えやすくなったが、費用はあくまで自己負担だ。 公団広報室は「基本的には、お客様が自己防衛の観点から措置すべきものと考えている」という。(12/18)